ほとんどのIPカメラは、それぞれ異なる解像度とフレームレートで複数のデータストリームを提供できます。SK VMS は、高解像度と低解像度の2つのデータストリームを要求し、それらのストリームを切り替えることで、処理負荷やネットワーク効率への影響を最小限に抑えつつ最適な画質を実現します。
この適応スケーリングは、SK VMS の最も重要な機能の 1 つです。
•プライマリ (高解像度) – ストリームは高画質ですが、再生にはCPUの処理能力とネットワーク帯域幅を多く必要とします。
•セカンダリ (低解像度) – ストリームの再生に必要な計算能力は、一般的な高解像度ストリームよりもはるかに少なく済みますが、低解像度・低フレームレートの映像となります。
カメラがデュアルストリーミングをサポートしている場合、システムは低解像度のストリームを『解像度640x360、7fps』付近に設定しようとします (ただし、一部のカメラではセカンダリストリームの解像度を最大720pに設定する場合があります)。セカンダリストリームは常時録画、モーション検知 (解像度が 1024x768 以下の場合)、および再生時の帯域幅とCPUの節約に使用されます。
ただし、セカンダリストリームの解像度が 1024x768 を超える場合、メディアサーバーはプライマリストリームの解像度を確認します。プライマリストリームの解像度が 1024x768 以下の場合、プライマリストリームがモーション検知に使用されます。 1024x768 より大きい場合、[カメラ設定 > エキスパート] タブもしくは [カメラ設定 > モーション] タブで「強制的にモーション検知を行う」をクリックするか、[モーション] タブで明示的に有効化しない限り、モーション検知は無効になります。
デフォルトの SK VMS デュアルストリーム設定は、ほとんどのカメラでうまく機能します。不都合がある場合は、一連の個別コントロールによりストリーム処理を手動で制御できます。これらの設定を変更すると、サーバーや表示側のパフォーマンスに重大な影響を与える可能性があるため、これらの設定が個別に、または組み合わさって、どのように動作するかを理解することが重要です。
重要: 設定を変更するには、システムパフォーマンスへの影響を確実に理解している必要があります。
サーバーでのデュアルストリーミング
サーバーは、ソフトウェアモーション検知のために可能な限り低解像度の映像を使用し、特別に設定されない限り、高解像度と低解像度の両方の映像をアーカイブに録画します。ただし、カメラによってはシステムのデフォルトの挙動に従わない、または従えない場合があります。通常、以下のいずれかの理由に該当します。
•要求された設定がカメラで利用できない場合。
•最低解像度のストリームが 1024x768p より高い場合。
•セカンダリまたは低解像度のストリームがまったく提供されない場合。
•低解像度ストリームがプライマリとして提供され、高解像度ストリームがセカンダリとして提供される場合。
注: セカンダリストリームから10秒以上データを受信していない場合、サーバーはストリームを再初期化します。
クライアントでのデュアルストリーミング
クライアントでは、ライブやアーカイブ映像のストリーム解像度が自動的に選択されます。
•高解像度ストリームは以下の条件で表示されます。
oネットワーク帯域幅と CPU 負荷が正常な範囲内の場合。
oアイテムがフルスクリーン表示の場合。
•解像度ストリームは以下の条件で表示されます。
oクライアントとサーバー間のネットワーク帯域幅が不足している場合。
o画質の重要性が低い場合: アイテムが 172 ピクセル未満の場合、および早送りまたは早戻し再生中の場合。
o高解像度ストリームの処理によって表示品質が損なわれる場合や、CPU使用率が高くなる場合 (レイアウトで開いているストリームが多すぎる場合に、デコード中にフレームが遅延またはドロップされる 等)。
モーション検知に影響する設定
モーション検知は、1024x768p 以下のセカンダリまたはプライマリストリームに対して実行されます。それ以上の解像度では、デフォルトではモーション検知は実行されません。
•モーション検知 – 任意のカメラのモーション検知のオンとオフを切り替えます (「録画スケジュールの設定」参照)。
•セカンダリストリームを無効にする – この設定を使用すると、カメラのモーション検知は実行されず、セカンダリストリームは録画されません (「セカンダリストリームの無効化」参照)。
•強制的にモーション検知を行う – カメラが設定内容を誤って報告し、プライマリストリームとセカンダリストリームを入れ替えてしまうことがあります。セカンダリストリームが高解像度の場合、モーション検知処理でCPU負荷が非常に高くなります。これを修正するために、モーション検知で使用するストリームを指定することができます (「モーション検知用ストリームの指定」参照)。
録画と再生に影響する設定
特定の設定を適用すると、サーバーが高解像度または低解像度のストリームを録画しない場合が発生します。
•モーション + 低解像度 – 低解像度ストリームを常時録画し、モーションが検知された場合のみ高解像度ストリームを録画するため、高解像度映像が再生できない箇所が発生します (「録画スケジュールの設定」参照)。
•セカンダリストリームを無効にする – この設定を使用すると、カメラのモーション検知は実行されず、セカンダリストリームは録画されません (「セカンダリストリームの無効化」参照)。
•プライマリストリーム / セカンダリストリームを録画しない – 片方または両方のストリームの録画を完全に無効化する場合に使用します (「特定ストリームの録画の無効化」参照)。
•映像ストリーム設定 – カメラによっては、ストリームの構成を [カメラ設定 > 詳細設定] または [カメラ設定 > Webページ] タブのいずれかで設定できます。これらのタブからストリーム設定を制御する場合は、以下のいずれかを実行する必要があります。
o[カメラ設定 > エキスパート] を開き、[カメラのストリームおよびプロファイル設定を保持する] を有効化。これにより SK VMS による内部最適化が行われなくなり、録画スケジュールのFPSと映像品質の設定が無視されます (「SK VMS によるデバイス設定変更の抑制」参照)。
o[システム管理 > 全般] を開き、[システムによるデバイス設定の変更を許可する] を無効化。
手動設定を破棄してネイティブプリセットに戻す場合、エキスパートタブの「デフォルトに戻す」ボタンが利用できます (「SK VMS でのデバイスの詳細設定」「Webページでのデバイス設定」参照)。
常に高解像度を表示する設定がされているカメラが含まれたレイアウトを表示しており、パフォーマンスの大幅な低下が検出された場合、「パフォーマンスを向上させるには、レイアウトの解像度を『自動』に設定してください」というメッセージがレイアウト全体に表示されます。