フェイルオーバーとは?より確実なシステム運用の為に必要な知識。
SK VMSの知識 —
フェイルオーバーとは?システム運用におけるリスクケアのおはなし
こんにちは!ネットワークカメラとIP監視カメラシステムのシステム・ケイです。
皆さんは「フェイルオーバー(Fail over)」という言葉を聞いたことがありますか?
何らかの障害が起きても止まらないようなシステムを構築するための機能なのですが、その意味を正確に理解している方は少ないかもしれません。
今回は、そんな「フェイルオーバー」に関する基礎知識と、SK VMSにおけるフェイルオーバーについて解説していきます。
止まらないシステムを構築するための考え方
監視カメラシステムは決して止まってはいけない
監視カメラシステムは、防犯カメラによる監視で、不法侵入や盗難防止、犯罪発生時の原因究明など、皆さんの安全を守る為の重要なシステムです。
そんな「いざ」という時に備える監視カメラシステムは、常に正常に動き続けている必要があり、決して止まったり壊れたりしてはいけません。万が一問題が発生し、監視カメラの映像から原因を特定しようという時に「監視カメラシステムの故障で映像が録画できていなかった」なんてことがあっては、監視カメラを設置した意味がありません。
監視カメラシステムは、サーバー、つまりはコンピューター上で動くものです。
どれだけ高級でハイスペックなコンピューターを使用しても、それがモノである以上、絶対に壊れないという保証はありません。
では、どうすれば止まらない監視カメラシステムができるのか。
その解決策が、「システムの冗長化」であり、「フェイルオーバー機能」なのです。
システムの冗長化とは
先ほど、壊れず止まらないシステムを構築するために「システムの冗長化」が必要だということをお話ししました。
本来、「冗長」という言葉は、「無駄が多く余っている」といったネガティブな意味合いで使われます。
しかし、ITの世界においては「余っている」ということを「余裕がある / 予備がある」といったポジティブな意味合いで使われるのです。
つまり、システムにおける冗長化とは、「システムに障害が発生した場合に備え、あらかじめ予備のシステムを用意しておくこと」を指します。
フェイルオーバーとは
「フェイルオーバー(Fail over)」とは、稼働中のシステムやサーバーに障害が発生した際に、別に稼働状態にある予備システムに「動作を自動で切り替える機能や仕組みのこと」です。文字の意味である「フェイル(Fail)=失敗」と「オーバー(over)=切り替える」から考えると分かりやすいかもしれませんね。
フェイルオーバーによって出来るのは、システムの切り替えを自動化すること。そのため手動で行う手間が省けるのはもちろん、切替動作は一瞬で行われデータの引継ぎも必要ないのが最大のメリットとなります。
切り替えは処理の途中でも問題なく行うことができ、システムの停止時間を最小限に抑えることが出来るため、ECサイトを始めとしたシステムや、監視カメラなどに用いられることが多いです。
予備のシステムを稼働させたまま待機させる必要があるため多少のコストはかかりますが、重要なシステムが完全に停止するリスクを考えれば導入する価値は十分にあるでしょう。
これと似たようなことを、以前「ホットスペア」についての記事でもお話ししましたが、実は「ホットスペア」はシステムに関する用語としても使われており、予備システムが稼働している状態のままで待機していることを指します。
SK VMSにおけるフェイルオーバーについて
サーバーの統合によるシステムの冗長化
当社のVMSであるSK VMSは、複数のサーバーを統合して一つのシステムとして扱う、「システム統合」機能が存在します。
サーバーの統合により、それぞれのサーバーが持っている、カメラなどのリソースを共有し、多数のサーバーを一括で管理することができるのです。
また、システム統合は、それぞれのサーバーが相互に監視しあうことで、障害発生時に備える冗長化の機能も備えています。
統合されたサーバーは、互いに自分が持っているユーザー情報やカメラの接続情報、設定情報を共有しているので、他のサーバーが正常に稼働していることを確認し合います。
フェイルオーバーにより、障害発生時でも録画の継続を実現
上でも説明した通り、システム統合により統合されたサーバー同士は、互いのサーバーが正常に稼働していることを監視しています。
そのため、サーバーの一つが障害により切断されると、残ったサーバーがそれを検知して「フェイルオーバー」を起こし、切断したカメラを繋ぎなおします。
切断されたサーバーの接続情報や録画設定は、あらかじめ他のサーバーへ共有されているので、すぐさま切断したカメラを復旧することができます。
そして、切断されたサーバーが復旧すると、カメラは元のサーバーに繋ぎなおされます。
そのため、SK VMSの監視カメラシステムでは、サーバーが故障したとしても、そこに繋がっているカメラの録画は止まることが無く、安心して監視システムを運用することができます。
また、サーバーの切断後に録画していた映像も、切断前の映像と連続して再生することができるので、障害時にも録画データの保存先などを意識する必要がありません。
監視カメラシステムにはフェイルオーバーが選択される理由
実は、フェイルオーバーだけではなく、「スイッチオーバー(switchover)」というものも存在します。
何か障害が発生した際に自動ではなく人間が手動でシステムの切り替えを行う方式です。
フェイルオーバーと違い、複雑な仕組みが要らず、常に予備のシステムを稼働しておく必要がないため、多少コストが抑えられるのが特長です。
しかし、人の手を介するため、障害発生からシステムの切り替えまでに時間が掛かってしまうことや、サーバーを切り替える人を常に置いておく必要があることがデメリットです。
スイッチオーバーがよく使われるのは、稼働機器やソフトウェアのメンテナンスやアップデート、交換などを行うために人為的に停止して切り離す必要がある場合です。
監視カメラシステムでスイッチオーバーを採用した場合、当然ですが、障害発生時にシステムの切り替えが完了するまでカメラの映像は撮れていないので、ひょっとしたら肝心なところが録画出来ていない、なんてこともあるかもしれません。
監視カメラシステムは、皆さんの安全を守る大事なシステムです。一瞬でも落ちることが許されないシステムだからこそ、万が一の際に「システムの自動切り替え」、「最小時間での処理の引き継ぎ」ができるフェイルオーバーが必要になるのです。
まとめ
今回のお話のポイントは次の3つです。
- 冗長化によって予備のシステムを用意することで、不意の障害に備えることができる。
- 予備を用意することで、もしもの場合にシステムを切り替えて動作を継続できる
- SK VMSは、サーバーに障害が起きると、自動でカメラを別のサーバーへ切り替え、録画を継続する
ITの専門用語として使われている「フェイルオーバー」でしたが、特に「可用性」と「信頼性」が問われる監視カメラシステムにおいては必須の機能であることがお分かりいただければ幸いです。
今回紹介した「フェイルオーバー」を導入するにはシステムの冗長化のため、コストがかかることは否めません。しかし、肝心な時に録画ができていない、という状況を回避できます。
監視カメラシステムの導入をご検討されている方は、今回のお話が参考になればと思います。また、疑問点などございましたら、お気軽にシステム・ケイまでご相談ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。