SK VMSブログ

UbuntuとCentOS – ③ OSの設計思想を汲み取る!?

SK VMSの知識 —

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Linux閑話の第三弾です。
▼Linux閑話第一弾 UbuntuとCentOS – ①SKVMSでの対応
▼Linux閑話第二弾 UbuntuとCentOS – ② インストール直後の操作感の違い

前回に引き続き、UbuntuとCentOSの比較をしていきます。
今回は設計や細かい仕様の違いから、それぞれのOSの思想・理念に触れていきます。

簡単に両者のコンセプトに触れると、
Ubuntuは「誰にでも使いやすい最新かつ安定したOSを提供する」、
CentOSは「エンタープライズ向けOS (RHEL)を無償で提供する」です。

1. rootユーザーの扱い

rootユーザーはシステム管理者として自動作成され、あらゆる設定変更が可能になっています。
システム動作に関わるような重要な変更(パッケージのインストールなど)はrootユーザーの権限が要求されます。

CentOSでは、基本的に一般ユーザーでは設定変更はできず、rootユーザーでログインすることで各種変更を行います。
管理者ユーザーが明確に分かれているのがエンタープライズ向けらしいところですね。
ただし、固定のユーザー名で絶大な権限をもつrootユーザーはセキュリティ上問題となりえますので、
rootによるリモートログインを禁止し、一般ユーザーでログインしてからrootへとユーザー切り替え(suコマンド)を行うことも多いです。

一方Ubuntuではrootでログインするということ自体をデフォルトで無効にしており、 代わりにsudoコマンド(+自身のパスワード)つきで実行した場合のみroot権限を付与します。
ユーザー切り替えの手間や管理するパスワードが減り、扱いやすいと思います。

2. インストール後の動作

アプリケーションのインストール時だけでなく、
インストールした後の動作にも違いがあります。

例えばWebサーバー(Apache等)をインストールした際、
Ubuntuでは自動的にサービスが立ち上がるため、インストール完了直後からデフォルトページにアクセスすることができます。
一方のCentOSでは、手動でサービスを有効化するコマンドを打つ必要があります。

簡単便利を追求するUbuntu, 自分の手で管理したいCentOS, というそれぞれの意図を感じます。

3. コマンドの動作

細かいコマンド動作の違いも見ていきましょう。

・実行確認(apt, yum)
Ubuntuでインストール確認などが行われる場合、何も入力せずにEnterキーを打つと「Yes」として解釈されます。
読み取り専用ファイルの削除確認などではデフォルト「No」の場合もありました。

CentOSの場合、インストールでもファイル削除でも一貫してデフォルト「No」で解釈されます。

Ubuntuは「インストールしたくてコマンド打ったんだろうからYesで」
CentOSは「確認なんだから変更が発生しないようにしないと」
というようなイメージでしょうか。
・エイリアスの設定
また、Linuxシステムではコマンドの短縮形などを設定できる(エイリアス)のですが、
ここにも思想の違いが伺えます。

ll というコマンドはls (-オプション)の短縮形で、両OSともデフォルトで登録されています。
CentOSで実行すると隠しファイルを除くすべてのファイルを表形式で表示(-l)しますが、
Ubuntuでは隠しファイルを含むすべてのファイルを表形式で表示(-alF)します。

さらにCentOSでは、rm, cp, mvなどファイルの移動や削除などが発生する行動に関して、
実行確認を行うようにコマンドを上書きしています(rm=’rm -i’ など)。

むやみに隠しファイル等を表示しない、ファイルの移動は確認をとるなど、
CentOSはいかにもエンタープライズ向けらしい設定になっています。
対してUbuntuは手間ができるだけ少なくなるように調整されている印象です。

最後に

以上で予定していた比較は終了となります。
比較した結果、同じLinuxでも開発目標によって印象が変わる、そして
サーバーの安定運用向けとしてはCentOSが確かに向いていそうだと筆者は理解しました。

一方、安定運用を重視した結果、CentOSでは新しいパッケージを導入できなくなっていることもあるようで、
最新技術の開発という面ではUbuntuに軍配が上がります。

これはこれで棲み分けができているようにも見えますが、
CentOS 8からは最新パッケージへの更新に対応するようで、今後どれだけ響いてくるか気になります。

UbuntuとCentOSの比較は以上となります。いかがでしたか?
少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。

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